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【2024年版】世界とアジアの越境EC市場規模。日本で狙うべきはアジア経済!

越境EC市場は全世界で急成長が見られており、2030年には 7兆9,380億USドルに達するという予測が立てられています。今まさに大注目のビジネスと言えるでしょう。そして、実はその越境EC市場が急成長した大きな要因がアジアにあるのです。

この記事では、「これから越境ECを始めたいけどどの国をターゲットにすればわからない」「マーケットを海外にも展開したいけど今伸びている市場を知りたい」そんな方に向けてアジアの越境EC市場の現状をお届けします。

 

全世界で越境EC市場が急成長

 

市場規模の拡大

 

2030年までに全世界の市場規模は約7兆9,380億USドルに達する予測がされています。

その要因として、スマートフォンの普及やインターネットの利用率の上昇が大きく影響していると考えられます。ここ10年の間にyoutubeなど動画サービスが人気を博し、プラットフォームがグローバル化したこともあり、他国の文化や製品の情報を知る機会が増えました。

併せて簡単に他国のマーケットに出店できる仕組みが整った今、越境EC市場の成長は必然だったのかもしれません。国内においてはコスト削減を目的としたEC化や、訪日外国人のリピート購入の増加も、市場拡大のきっかけとなっております。

 

出典:「経済産業省 令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」 

 

市場規模に注目すると、特に米国と中国の市場が大きなシェアを誇ります。そして東南アジアの市場も急速に成長しており無視できない存在でしょう。アメリカの越境EC市場規模は2021年に1兆2,224億円に達し、前年比で25.7%の増加を遂げています。中国においても、越境EC市場規模は2021年に1,773億USドルに達し、前年比で17.4%増加しているとのことです。

これらの地域の市場動向を把握することは、今後のビジネス戦略を考える上で重要なポイントとなるでしょう。

 

出典:「経済産業省 令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」 

越境ECを始めるならアジアがおすすめな理由

 

アジア市場の急拡大

 

越境ECの市場を選ぶ際、人口は勿論重要ですが、デジタル化の進展が注目ポイントといえます。越境ECは当然インターネット上で行われる売買で、決済関連の電子化は必須の条件となるからです。
アジア市場は、その条件に合致するため、越境ECにとって非常に魅力的です。主にシェアの多い中国、台湾、韓国がターゲットとなります。
他に東南アジアは、経済成長が目覚ましく、安くて良いものを探している中間所得層の増加により消費市場が拡大していることも見逃せません。

どの国も特に若年層を中心にオンラインショッピングが日常化しています。越境ECビジネスにおいて、モバイルデバイスを通じたショッピングに抵抗が無い若年層は無視できない存在でしょう。またアジア諸国ではデジタル決済システムの導入が進み、越境ECの利便性が高まっているため、ビジネスチャンスは大いにあります。

 

日本製品はアジアで高い需要がある

 

日本製品は世界的に信頼度が高く、アジア市場も例外ではありません。訪日外国人のリピート購入が市場拡大に大きく貢献していることも要因の一つです。例えば、台湾では日系企業のショップやECサイト、買い物代行業者などを通じて最新の日本製品が広く利用されています。

香港では日系のショップやドラッグストアが日本製品の主要な販売ルートとなっており、マレーシアでは日本の中古品が新品同様の人気を博しています。また、ベトナムでは医薬品から家電まで、日本製品が高品質なブランドとして認知されています。

アジア市場では、日本への旅行経験がある外国人が、その後も日本製品に対して高い関心を持ち続けることもあります。そのような層に越境ECで商品を提供できればビジネスが成立します。例えば、台湾からの訪日旅行者は非常にリピーターが多いことが報告されているそうです。元々日本に対して強い好感を持っているため、帰国後も日本製品を求め続けても不思議な話ではありません。

 

オリジナリティで勝負できる

 

日本製品の、日本らしい要素や独自性のある商品は大きな武器となります。例えば、フィギュアやトレーディングカード、アーティストグッズなどは、日本から海外に向けた越境ECで人気の商品です。また、海外で人気のデザイナーズブランドや、日本製の車用品・バイク用品も需要が高いようです。

 

越境ECを始めるメリット・デメリット

 

越境ECを始めるメリット・デメリットを下記にまとめました。デメリットもありますが、当然ビジネスにはリスクが付き物。挑戦する価値はあるのではないでしょうか。

 

越境ECを始めるメリット

 

市場拡大の機会: 国内市場に限定されず、世界中の消費者にアクセスできる。
低コストでの出店: 実店舗を海外に展開するよりも、インターネットを介したビジネスのため、出店や運営が容易で低コスト。
日本製品の強み: 日本製品の品質の高さは世界中で知られており、越境ECを通じて海外の顧客にアピールできる。

 

越境ECを始めるデメリット

 

輸送コストの高さ: 国内配送よりも輸送コストが高くなりがち。
国や地域による異なる対応: 販売する国や地域の法律、規制、文化に適応する必要があり、ローカライズに関するコストがかかる。
トラブルの可能性: 海外発行のクレジットカードの不正利用など、想定外のトラブルに対処する必要がある。

 

出典:「経済産業省 令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」 

 

中国、韓国、台湾の越境EC市場規模と各国で人気な日本製品とは?

 

日本と中国の越境EC市場規模

 

2022年度国別EC市場シェアで50%を占めるという、圧巻の巨大市場である中国はやはり無視できません。中国の越境 BtoC-EC(日本・米国)の総市場規模5兆68億円と巨大です。

その中でも日本経由の市場規模は2兆2,569億円でした。米国経由の市場規模が1兆 3,056億円であったことを考えると、いかに中国人が日本の製品を積極的に購入しているかがわかります。

 

出典:「経済産業省 令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」

しかし、なぜここまで中国の越境 BtoC-EC市場で日本製品が人気なのでしょうか。それはまさに「品質」が高いことに尽きるでしょう。
元々中国はEC事業自体が活発です。中国輸入物販を行っている方であれば、中国から輸入すれば非常に安く在庫を仕入れられることをご存知かと思います。

それも製品のジャンルも広く、あらゆる製品が非常に安い価格で提供されています。それでも中国人が日本で作られた商品を購入するということは、中国製品では実現できないクオリティが日本の製品にあるということです。

 

中国で人気の日本製品

 

中国の越境市場で人気の日本の製品トップは「美容コスメ」で 44%、続いて「衣料品/アパレル」で 43%、「食料品・アルコール」が30%となっています。

「美容コスメ」は主に化粧品(スキンケア製品、メイクアップ商品)となります。日本の化粧品はその品質の高さや肌に優しい成分が使われていることで知られているようです。敏感肌や特定の肌悩みを持つ消費者に注目されています。

「衣料品/アパレル」は日本のファッションブランドが人気です。原宿ファッションがパリから注目されているように、日本のファッションは世界の中でも個性がありデザイン性が高いです。独自のデザインと品質で知られており、若者を中心に中国でも人気です。

「食料品・アルコール」は、日本のお菓子、インスタント食品が人気のようです。訪日客がお土産として日本のスナックを大量に買っていくのは有名な話ですね。日本のお菓子は非常にバリエーションが豊富で、海外の方からすると奇想天外な商品も多々あります。そしてその味も訪日客に好評です。また即席麺の本場でもある日本のインスタント食品も人気なようです。
世界的に評価の高いジャパニーズウイスキーも大人気です。「響」など有名なジャパニーズウイスキーが日本の市場で買い占められたという噂もありました。

他にも日用品(キッチン用品、バス用品、文房具)や自動車・バイク用品(部品、アクセサリー)も人気です。やはり高品質で信頼性の高い製品が購入されているようですね。

 

出典:「経済産業省 令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書

 

日本と台湾の越境EC市場規模

 

台湾の越境EC市場は、近年急速に成長しており注目の市場です。元々親日で有名な台湾。日本人の想像以上に、台湾では日本のカルチャーや商品は身近な存在です。そして越境EC市場の成長により、日本の商品に対する需要が益々高まっており、まさにビジネスチャンス。

その市場の中でも日本を通じた売上は明らかではありませんが、「経済産業省 平成 30 年度
我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると台湾のEC市場全体の規模は2017年の約65億ドルから2021年には約76億ドルに成長すると見込まれており、4年間で約17%の成長を遂げています。

EC化率は日本の7.9%に対して台湾は10.4%のため、やはり市場が活発化しています。また、台湾全土には郵便局が運送網を敷いており、宅配網の整備が進んでいる点も好材料でしょう。

 

台湾で人気の日本製品

 

台湾で特に人気のある日本製品には、食品、ドラッグストア製品、コスメ、家電などがあります。

食品では牛乳、午後の紅茶、焼き帆立貝、ふりかけ、お米などが人気のようです。これらの商品は台湾では手に入らない、もしくは日本よりも台湾では高価な品であるため日本製品が人気なようです。

ドラッグストア製品も非常に人気があります。訪日客がドラッグストアで商品を買い込む姿は地上波でもたびたび報道されていますね。具体的にはアリナミン、EVE、新ビオフェルミンなどのドリンクや錠剤、ウナコーワクール、目薬、PAIRクリームなどの医薬品が注目されています。やはり「健康」に関わる商品ばかりで、高い信頼性があるから人気なのでしょう。

また、コスメではMINON、アネッサの日焼け止め、馬油、Bifesta、DHC、QTTOなどが人気なようです。日本製コスメは価格のわりには品質が高く、安全性が評価されているといえます。やはり直接肌に触れる製品は敏感肌の人にとってはとても重要なものです。日本製品が選ばれるということは、やはり品質が高い証拠で優秀な商材といえます。

家電製品ではドライヤー、TOTO、SHARPのトースターなどが人気で、日本の家電製品は技術的に優れており、信頼性が高いため好まれています。

 

日本と韓国の越境EC市場規模

 

アジアの越境EC市場の中でも韓国も見落とせません。数年前の「ノージャパン」という日本製品不買運動も記憶に新しいですが、政権交代をきっかけに今では日本製品が人気となる「イエスジャパン」状態に。韓国の越境EC市場は、世界的に見ても目覚ましく、その市場規模は大きく拡大しています。2022年の越境EC市場全体の規模は1,333億USドル(約17.5兆円)に達し、世界で5番目の市場シェアを占めています。その市場の中でも日本を通じた売上は明らかではありませんが、間違いなく日本製品への需要は増え続けています。

というのも「観光庁 訪日外国人消費動向調査」によると訪日外国人で一番多いのは中国人で次点が韓国人です。現在、日本は韓国からも注目を集めていると言えます。

また韓国はインターネット利用率やスマートフォンの普及率がほぼ100%に達しており、キャッシュレス文化も日本より早く浸透しました。これらの要因が、韓国のEC市場の成長の背景です。

韓国のEC市場は、大手ECモールと専門ECサイトによる市場が2極化しているようです。またライブコマースがマーケティングのトレンドとなっている点も日本の一歩先を進んでおり注目しておきたい点です。

各ECサイトが独自のサービスを展開しており、競争が激しい市場環境が形成されています。越境EC市場も例外ではないため、もし韓国に進出する場合、市場のリサーチやどの販売形態で始めるかしっかりと見定める必要があるでしょう。

 

韓国で人気の日本製品

 

韓国で人気の日本製品には、食品、コスメ、キャラクターグッズなどがあります。ここで注目したいのはコスメです。美容大国とも言われる韓国は美容整形が有名で国の観光事業になる程です。そんな韓国からも日本のコスメは注目を浴びている点は驚きですね。シュウウエムラ ハードフォミュラ(アイブロウペンシル)、ビオレUV アクアリッチ ウォータリーエッセンス(日本でベストセラーの日焼け止め)、専科 パーフェクトホイップu(韓国で大ヒットした洗顔料)など他にも様々なコスメ製品が韓国でヒットしているようです。

また日本のスイーツも大人気です。東京ばな奈、銀座のいちごケーキ、白い恋人、ロイズのチョコレート、東京ミルクチーズ工場のクッキーなどが、韓国の方に喜ばれるお土産として挙げられます。

日本のアニメは韓国でも大人気ということもあり、キャラクターグッズも人気があります。ポケモンやクレヨンしんちゃん、サンリオキャラクターズなどの日本発のかわいいキャラクターグッズが韓国で人気を集めています。アニメ・漫画関連商品は今世界的にも人気が高まっており、日本でしか手に入らない商品ばかりのため、越境ECに向いている商材と言えるでしょう。

 

まとめ

 

本記事では全世界で急成長している越境ECの市場規模に焦点を当ててご紹介しました。
今回挙げた中国、台湾、韓国というアジアの代表国は勿論のこと、東南アジアなど今後伸びそうな国をターゲットにしてみるのも一つの手です。そこで重要なのは各国の特色をしっかりと押させることです。徹底的な市場のリサーチが成功のために必須といえるでしょう。
また、市場をズラすことも一つの手です。日本製品のポテンシャルの高さがあれば、あまり注目されていない国でも成功を収め、大きなリターンを得られるかもしれません。益々アジアの市場から目が離せませんね。